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強制執行からの救済

債務者の財産開示手続き
債権者の権利、実現に実効性
金銭を貸し付けたとして勝訴判決を得ても、債権者が債務者財産(給与、預金、生命保険、売掛金など)に関する情報を持たない場合には、強制執行によって権利の強制的実現を図ることができません。
金銭債権についての強制執行の申し立ては、原則として執行の対象になる債務者の財産を、例えば預金であれば、数ある銀行の中で、○○銀行の××支店の預金というように、債権者が特定しなければならないからです。
そこで、03年改正法により、権利実現の実効性を確保するという見地から、勝訴判決などを得た金銭債権者などが債務者から財産に関する情報を取得する事ができるようにするため、財産開示手続きが創設されました。
これは勝訴判決を有する金銭債権者などの申し立てにより、一定の要件のもとに裁判所が財産開示手続きの実施を決定して債務者を呼び出し、非公開の財産開示の期日において、債務者に宣誓の上で事前に提出させた財産の目録に基づき自己の財産について陳述させるというものです。
債務者が正当な理由もなく、裁判所からの呼び出し期日に出頭しない。
虚偽の陳述をした。そういった場合は30万円以下の過料に処せられるという制裁があり、実効性も図られています。
ただ、もともと資力のない債務者に関しては、残念ながら財産開示の手続きは、資産がないことの確認がとれるくらいの意味しかないことになります。

「朝日新聞」に掲載された記事です。 |