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刑事弁護

覚せい剤の危険性
安直な使用動機恐怖を痛感
覚せい剤事件の弁護人をしていると、つくづく覚せい剤は恐ろしいものだと感じる。
最近も大量の密輸入が見つかり、報道されていた。覚せい剤を始めた理由を被告人から聞くと、仲間から誘われるままに好奇心からとか、疲れを取りたい、気持ちのもやもやから逃れたかったから、という答えが必ず返ってくる。
確かに覚せい剤を使用すると、文字通り覚せい作用があるため、一時的には晴れた気分になるという。
ただそれはあくまでも薬の作用であり、体の肉体的、精神的な疲れや、もやもやの原因を取り除いてくれるものでは決してない。
その一時の気分を追い求めて覚せい剤を使用し続けると、人の肉体と精神をむしばみ、幻覚や幻聴が出て他人に危害を加えたり、覚せい剤の購入資金ほしさに犯罪に走ったりすることが起きる。
だから国民を守り、社会を守るために法律(刑罰)によって覚せい剤は禁止薬物とされている。
覚せい剤の恐ろしさは、一度始めるとなかなかやめられないところにある。やめようと思っても、いざ目の前に覚せい剤を置かれれば、いけないとわかっていても断ることができず、それに手を出してしまう。
覚せい剤を社会から追放することが、国民の長年の悲願だ。
そのためには、国民一人ひとりが、覚せい剤は許さないという強い自覚を持つとともに、覚せい剤を日本国内に一切持ち込ませない手だてを講じなければならない。

「朝日新聞」に掲載された記事です。 |